窓を打つ激しい雨に
僕は耳をそば立てた
僕の部屋のドアを
誰かがたたく音がして
ずぶ濡れで立ってた君は
すまなそうにこう言った
灯りがついたので
ちょっと寄ってみましたと
思いがけない真夜中の訪れに
知り合って間もない君に
何か訳があるのだろう
ずぶ濡れのコートを脱いだ
君はまだふるえてる
男物のセーターだけど
風邪をひかずにすむだろう
コーヒーカップを両手でかかえ
君はいつか涙声
別れてきた男にぶたれて
ここへ来たという
君はまだ愛してるのさ
彼のことを今もなを
明日になったらきっと
今日のことを悔むだろう
雨は静かなせせらぎを連れくる
悲しみの涙をつつみ
夜はさらにふけてゆく
目が覚めた朝の部屋には
君はもういなかった
男物のセーターだけが
そっとたたんでありました。